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現在インスタグラム上で展示中の作品の制作過程を紹介します。
我が家にいる2匹目の黒猫「くろ」がモデルで、彼の何とも言えない雰囲気を作品にしたく以下のようなクロッキーを重ねていました。

マイクロキャンバスに合った構図になるように、横からの顔なども考えていたのですが、最後にはこのクロッキーを元にサイズに合わせた下絵を描き、トレースしていきました。

本紙に写し終わりました。マイクロキャンバスでの制作なので、本当に小さい作品ですが、意外とオーソドックスな制作工程で進めています。

その後、骨書きをして進めて行きました。
最初からバックに金箔を貼ることは決めていたのですが、彼の雰囲気を出すために綺麗に隙間なく箔押しするのではなくて、少しずつ雰囲気を見ながら金箔を足して行きました。

箔の下には黄色を塗っています。
猫の毛描きを進めながら、バランスを見つつ最後に目を描きました。
以下完成品を横から見たところです。サイドもしっかり描いています。

以上です。小さい作品も大作とは違う描く楽しさがあります。
過程を知って頂き、少しでも親しみを持っていただけると幸いです。
展覧会に出品する作品のうち制作工程の一部を紹介します。
「制作工程の紹介1」で最初の部分を紹介していました赤い風景の方の作品です。
作家によって制作工程は様々ですし、私自身も本サイトで紹介しておりましたように作品の形状や素材・モチーフによって変えています。
この作品については小下絵(アイデアスケッチ・構想を作成した小さい作品)を数点作成し、またそこから似た風景をスケッチし、ということを繰り返しながら作成しました。
ざっとですが、時系列にご紹介します。

下絵に基づき水平線の位置を少しずつ決めていきます

少しずつ色味を加えていきます 遠景も同時に描きます

色が濁らないよう白い部分も残しながら描いていきます


描き込む部分と全体の色味を見ながら進めて行きます
手前に青味を足してみました


初めの下絵に基づきつつも道の幅も納得がいくまで詰めていきます
ほぼ完成まで近づきました。この作品は20号変形サイズですが、この作品からDM掲載作品は連作作品として描きました

両方の作品を比較しながら、会場でご覧頂ければ幸いです。
6月、梅雨の時期、今年は特に不安定な気候が続いています。緊急事態宣言は沖縄県を除き解除される方針が発表されましたが、まだまだ気軽に展示を見たり、また近くにそういった機会が無い方も多くおられることと思います。
本年私のwebsiteをリニューアルさせて頂いたことの一つとして「日本画について知りたいと思っておられる方へ向け制作工程の紹介をサイト内で充実させたい」という目的があります。
そこで今回は制作の工程の一部を紹介したいと思います。
よく展覧会で作品を観て頂いた際に「どうやって描き進められるのですか?」「どれくらいの時間がかかるのですか?」とお尋ね頂くことが多々あります。なかなか一言でお応えしにくく、幾つかの作品を並行して描いているので1点あたりの時間軸でお答えするのは難しいです。
それも作家により様々であると思いますので、あくまでも「私自身の場合」という形で参考までにご紹介できればと思いました。
例えば時間については、オンラインワークショップで提示させて頂いたものだと数時間で完成まで持っていけるように作成しております。
勿論日本画の素材の特徴上ある程度手順はありますが、どこから始めるか、どこまでやってみるかによっても違うと考えています。その視点からですと「必ずこの工程があり、これだけ時間がかかる」とは言い難いかと思っています。
本サイト上では初めて素材を触れてみようと思っておられたり、展覧会等で作品を鑑賞したりして興味を持って頂いている方にも身近に感じて頂くことを念頭に置いています。日本画の絵具にしても「とりあえず触れてみる」「こういう手順もあるのか」と知って頂くことも大切ではないだろうか、と考えております。
私自身の場合は幾つか習作を作成したり、イメージから近い現場を探したり、またスケッチをしたり、何度も現場を訪れたりするところから始めます。逆に実際の風景のスケッチからイメージを深める場合もあります。
それに加えそのままを使うことはありませんが、客観的になるために、時には画像処理ソフトで描いている作品のイメージを模索したりすることもあります。描く素材やモチーフ(過去の制作工程で紹介している扇子など)によっても工程は変えています。意図してのことですが、自然と変わってしまうものでもあるのかもしれません。
しかしながら共通して言えることとしては、出来るだけ作品が形になっていく最初の段階のイメージや計画作りを大切にするよう心掛けています。
言葉だけでは伝わりにくいかと思いますので、参考までに制作過程、2つの作品の最初の一部分を紹介します。


平たく言えば、最初のイメージや意図したことは最後まで持ち続けないとゴールが見えなくなってしまうからです。
私自身が昔からよく展覧会などで完成された作品を観るよりも(完成作品は勿論観た上ですが)ジャンルはどんなものであってもアイデアスケッチや下絵などを観ているとその作家の思考の過程を垣間見ることができて、それがとても好きでした。
実際の制作の中では勿論、矛盾すること、試行錯誤もあります。(そんなところが私個人としては制作過程と日々の日常は似ているとも思っています。)
本サイトに於いて私自身の作品ではありますがリアルタイムに様々な角度から制作工程を紹介させて頂くことで、少しでも作品作りを身近に感じて頂けたり、完成作品へ対してもまた別の感覚で鑑賞して頂けるきっかけ作りになればと思っております。
今後も様々に工夫していこうと思っておりますので、少しでも何かを感じて頂けたら幸いです。
日本画制作では、様々な過程がありますが、今回は水張り (みずばり)をご紹介します。
水張りとは、日本画以外にも水彩画など、水を溶媒とする絵を描くときに紙に歪みが生じにくいよう、一旦水に塗らした紙をパネルに張り付けるという手法のことを言います。日本画以外でも使われる工程ですので、合わせてご紹介したいと思います。
しかしながら、ここでは日本画で良く使われる和紙一般・麻紙(まし)をパネルに貼り付けることを前提にご紹介致します。
(胡粉の説明と同様に、工程についての文章表現は出来るだけ簡単な言葉を使うように心がけたいと思いますので、逆に専門の視点から見ると説明不足感もあるやもしれませんが、ご了承ください。本サイトWORKSHOPと同様にまずは画材などに触れて頂く感覚を大切にしたく思っております。)
まずパネルの大きさに合わせ紙を切り、裏から水を塗ります。

裏返して、紙をのばします。空気が入らないように気をつけます。

パネルの側面に糊を付けて貼っていきます。

手や乾いた刷毛で空気を抜きます。

端っこの処理も色々ありますが、私は厚みが出にくいよう折り込んで処理しています。

水張りする際はどうしても端っこに空気がたまって、乾いてからふくれることがあります。しっかり伸ばせているか見て作業します。

しっかり乾かして完成です。

他の水彩画でも利用できる手法ですので、参考になれば幸いです。
胡粉(ごふん)は白色顔料のひとつで、貝殻から作られる、炭酸カルシウムを主成分とする顔料を指します。
日本画以外にも日本人形などの制作でも用いられる絵具です。
地塗りとしても使用される絵具です(仕上がりの発色を上げるため)
最終的な仕上げにも勿論使われます。文章では伝わりにくいとは思いますが、私は「独特の白色」絵具で、なかなか他の水彩絵の具の中にはない風合いを得られる絵具だと感じています。当然のことながら作家さんにより使い方も様々です。
WORKSHOPページの課題「団扇」で少しでもその独特な風合いを体験して頂きたく教材として準備しております。
こちらでは簡単にではありますが、溶き方をご紹介します。(工程についての文章表現は出来るだけ簡単な言葉を使うように心がけたいと思いますので、逆に専門の視点から見ると説明不足感もあるやもしれませんが、ご了承ください。本サイトWORKSHOPと同様にまずは画材などに触れて頂く感覚を大切にしたく思っております。)
さて、胡粉(ごふん)は写真のような状態ですので、まず乳鉢で擦りつぶします。


細かく出来たら絵皿に戻します。以下のような感じです

次に膠を加え、団子にしていきます。WORKSHOP、Lesson3では、どこまでやるか?もありますが、取り合えず細かく擦り潰した状態の胡粉をお送りする予定です。


簡単に説明しますと、白玉団子を作る要領です。
団子にしたら絵皿にたたきつけ(ハンバーグの空気抜き作業のような感じ)、膠と胡粉がしっかり馴染むようにします。
しっかり団子になったら、絵皿に水を入れて指で押しつぶすようにしながら、丁寧に溶かしていきます。

きれいに溶かしきったら、地塗りなどの場合は刷毛で塗っていきます。実際に塗る際の濃度は牛乳よりも薄いくらいまで水、時には膠液で調整していきます。(これも一般的に地塗りなどの場合です。表現として使う時は様々です)


大まかではありますが、以上が胡粉を溶く工程のご紹介です。
白色なので画像では分かりにくいかもしれませんが乾くと何とも言えない独特の白色になります。また作品紹介なども含め本サイトでご紹介出来ればと思います。
何度か「日本画制作の工程は料理みたい」と表現していますが、胡粉を溶く工程も正にそんな感じです。制作工程などをご紹介することで独特の絵具に触れてみて頂くきっかけになれば幸いです。
日本画で使用する和紙。そのままを生紙と一般的に呼ばれます。
そのままだと絵具がしみ込んでしまうのでそれを止めるために「ドーサ液」を作りそれを紙に塗ります。ざっくりした説明ですが、この一連の作業を「ドーサ引き」と呼びます。滲み止めのための工程です。
ドーサ液とは膠液に生ミョウバンを溶かしたもののことです。
濃度も作家により様々ですが、よく使われる濃度としては三千本膠(棒状の膠、本ページでも写真に乗せています)1本に対し水800CCから1000CC 。その膠液に生ミョウバンを3グラムから5グラム程度。乳鉢ですり潰してから溶かします。
このドーサ液を毛布などの上で生紙にシワがいかないように慎重に塗っていく作業、これをドーサ引きと言います。

この工程も作家により様々で、表現の一つとして敢えて薄めのドーサ液を用いる方もいれば、分厚い紙を使うため濃い目のドーサ液を使われる(膠、ミョウバン共に)場合もあります。
勿論、画材店に行けばドーサ引き済みの和紙も販売されています。
どの過程から始めるか?は、まさしく料理と同じですね。
オンラインワークショップで使用している和紙は全て私自身に於いてドーサ引きしたものを使用します。とりあえず、絵具に触れてみて頂くことが目的ですのでそれらの下処理はこちらで準備したものをお送りしますのでご安心ください。
また取り組むうちにご自身でやってみたい!等の質問にお答えしていけるようにしたいと考えています。