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昨日を持ちまして、京都大丸 6階 アートサロンESPACE KYOTOでの展覧会「枕草子にみる悠久の轍 安冨洋貴・山名しおり二人展」会期終了しました。
新型コロナウィルスのワクチン接種が進み、少し感染拡大が収まりつつある状況ではありましたが、厳しいご時世の中、会場へ足をお運び頂いた方々ありがとうございました。
またSNSやウェブを通して気にかけてくださった方々、本当にありがとうございました。
私自身としては、1年半から2年ほどかけて、ずっと様々なことと並行しながら精一杯、取り組んできた作品を展示させて頂きました。
ご高覧頂きました皆様を始め、この度の展示を支えてくださった方々、アートサロンESPACE KYOTOのスタッフの皆様、そしてご一緒させて頂きました安冨さん、本当に感謝しております。
絵を描く作業は孤独な作業ではありますが、展覧会や作品を発表させて頂くということは決して一人ではできないことであること、支えてくださる方々、様々な出会いの中でできることだと改めてこの度の展示を通して実感しております。
皆様、ありがとうございました。
また、しっかりと自分の足元を見て日々頑張っていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

今回の展覧会では、それぞれの最大30号サイズの作品を展示しています。
その作品をご紹介します。
安冨さんの30号スクエア作品「Loophole」

「Loophole」の作品の対応文は以下です。
【218段 月のいと明きに】
月のいと明き(あかき)に、川を渡れば、牛の歩むままに、水晶などのわれたるやうに水の散りたるこそ、をかしけれ。
(現代語訳)
月がとても明るい夜に牛車で、川を渡ると、牛が歩くのにつれて、まるで水晶が割れたように水しぶきが散っていく、何とも素敵だ。
Loopholeとは直訳すると、抜け穴。抜け道。逃げ道等々です。
また壁などにあけた小穴、 通風・採光に合わせて使われることもあるようですね。英語の細かなニュアンスは正直なところ私は勉強不足で分かりません・・・。
しかしながら、上記の一文を選択された安冨さんの思い、また作品の印象から、私は抜け道のようなひっそりとした場所をイメージしながらも、ちょっとした小穴のような隙間から覗いた先にあった風が通る場所、またふと上から射した光の反射を合わせてイメージしました。
私は在廊中、会場で拝見していると、自分がもしこの作品の世界に入ることができるならば、ずっと隠れていたいような、秘密の場所のような・・・。そんな気持ちになりました。
次は私の30号Pサイズの作品「朝に去る色」です。

「朝に去る色」の作品の対応文は以下です。
【240段 雲は白き】
雲は白き。紫。黒きも、をかし。
風吹くをりの雨雲。明け離るるほどの、黒き雲のやうやう消えて、白うなりゆくも、いとをかし。「朝に去る色」とかや、詩(ふみ)にも作りたなる。月のいと明き面に薄き雲、あはれなり。
(現代語訳)
雲は 白いの。紫。黒い雲のもいい。風が吹く折の雨雲もいい。
夜が明けはなれるころの、黒い雲がようやく消えて、あたりが白んでゆく風情も、とてもおもしろい。「朝に去る色」とか、漢詩にも作ってあるようだ。月のとても明るい面に、薄い雲というのもしみじみとした趣がある。
これは身近な京都の風景です。下は水路が流れています。ずっと描きたいと思っていた場所の一つです。ふとした時に見つけ、何度も訪れました。
まず、この作品は「描きたい場所」があったのですが、作品にしていく過程では枕草子の一文、特に「朝に去る色」という表現に惹かれ、何とか絵にしたいと思いました。夜明けのことを「朝に去る色」と表現した清少納言の言葉の巧みさ。
私は単純に「なんて豊かな日本語表現だろう!」と思いました。
「黒い雲」を絵の中に込めるために、水面にしっかりと深い青や濃い色を置き、表現しようと試みた作品です。
この2点は以下のように展示しています。

昨日より始まりました展覧会。展示風景を随時アップして参ります。
最初にDM作品の紹介です。それぞれ額装しておりますので、アクリルに映り込みがありますが、その点はご容赦くださいませ。
また、枕草子の一文との展示風景も掲載しますので、少しでも雰囲気が伝わればと思います。
まず安冨さんの作品です。

タイトルは「Nocturne」です。これに対する枕草子の一文としては以下を引用されています。
【26段(部分) 心ときめきするもの】
よき男の、車とどめて、案内し問はせたる。 頭洗ひ、化粧じて、香ばしうしみたる衣な
ど着たる。殊に見る人なき所にても、心のうちは、なほいとをかし。待つ人などある夜、
雨の音、風の吹きゆるがすも、ふと驚かる。
高貴そうな男が、家の前に車を止めて、使いの者に何かを聞かせにやった時。 髪を洗って化粧をして
、しっかりと良い香りが焚き染められてついた着物を着た時。その時には別に見ている人がいなくても
、心の中ははずんだ気持ちになる。
恋人の訪れを待つ夜は、雨の音や、風が吹いて建物を揺らす音さえも、あの人が来たのだろうかと思い
、驚き嬉しくて、胸が騒ぐものだ。
[Nocturne]は美術では「夜景画」、音楽では「夜想曲」の意味で使われますね。
ご本人ではないので、あくまで私の感想ですが「心ときめきするもの」の一文に対応されていたことを考え、作品を拝見していると、どことなくリズムや音の響きを感じ私は「夜想曲」のイメージを持ちました。クラッシック音楽で有名なノクターンが色々ありますね。皆様はいかがでしょうか。
次は私のDM作品です。

タイトルは「想う日」です。以下対応文です。
【27段 過ぎにしかた恋しきもの】
過ぎにしかた恋しきもの
枯れたる葵(あおい)。雛遊びの調度。二藍(ふたあい)、葡萄染(えびぞめ)などのさいでの、押しへされて、草子(そうし)の中などにありける、見つけたる。また、をりからあはれなりし人の文、雨など降りつれづれなる日、さがし出でたる。去年(こぞ)のかはほり。
過ぎさったころのことが恋しく思い出されるもの
祭りに使っていた枯れた葵。雛遊びの時に使った道具類。二藍や葡萄染めなどの切れ地が、押しつぶされて、本の中に挟まっているのを見つけた時。また、ふとした時に、かつて好きだと思っていた人の手紙を、雨などが降っていて手持ち無沙汰な日に、たまたま探し出した時。去年使っていた夏扇。
過ぎてしまったことを想うこと、それが日暮れ時に、ふとその一日のこと想う・・・そんなイメージと繋がり、この一文を選びました。私自身が枕草子の中で好きな一文でもあります。
実際は作品の前にこんな感じで展示しています。

色々な見方を楽しんで頂けたら幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
「枕草子にみる悠久の轍 安冨洋貴・山名しおり二人展」
2021年10月13日(水)~19日(火) 10時~20時 (最終日は17時閉場)
京都大丸 6階 アートサロンESPACE KYOTO (京都市下京区立売西町79)
電話番号 075-211-8111
以下は作家在廊予定です。
13日(水)10~15時(山名)
14日(木)17~20時(安冨)
15日(金)10~12時 ・ 16~20時(安冨)
16日(土)10~16時(安冨・山名)※山名12時~13時前後のみ不在
17日(日)10~16時(山名)
※ 途中、食事休憩等により席を外している場合がございます
こういったご時世ですので、急な変更もあるかもしれませんが、その際は本サイトにお知らせ、もしくはアートサロンESPACE KYOTOさんへお伝えしておくように致します。
展覧会の様子、展示風景をご紹介します。
展覧会入口からの様子です

展覧会案内板です。

展覧会に寄せての文章です。綺麗に掲示してくださいました。
文面は安冨さんと一緒に何度も推敲を重ねました。

最大サイズ、それぞれ30号の作品を展示しています。

また順次展覧会の様子はアップしていきたいと思います。
展示した作品の制作工程などは、会期が終わりましたら適宜準備中のものも更新していきたいと思っています。

