2020年9月30日

マイクロキャンバスを使って日本画制作(工程の紹介)

10月3日から始まります「ココロに響くアートをお届けします」では各作家達が通常の作品とともにマイクロキャンバスを使った作品を出品します。様々なジャンルの作家達がそれぞれの画材で制作しますが、私は日本画の絵具・画材を活用しながら制作しました。そのマイクロキャンバスの大きさとともに、日本画の制作工程をご紹介します。

マイクロキャンバスは既にキャンバス地が貼ってあります。小さくとも釘打ちされた本格仕様です。そのまま使用することもできますが、より日本画の絵具が定着しやすいよう、そして和紙の風合いの上での表現という視点から私は和紙(細川紙・美濃紙等の通常よく使われる雲肌麻紙よりも薄めの紙を使用しました)を水貼りして描いていきました。

水貼りの工程

バックにあるマットは1センチ方眼紙です。和紙に平筆で水を湿らせてから張り込みます。次にあるのはマイクロキャンバスチャレンジプロジェクトとして木肌から切り出した木材にキャンバスを貼り込んだ素材を提供頂いたものに和紙を貼り込みました。

木肌そのままのマイクロキャンバスチャレンジプロジェクトとして提供して頂いた素材
裏はピンバッジ仕様です

次に下絵から線をひらって、写します。トレース紙を使ったり、小さいので下絵からカーボン紙を使ったり色々な方法を使います。比較にボールペンを置いてます。

下書きをトレース
大きい方のキャンバスの基底材はカマボコ板です。こちらもマイクロキャンバスチャレンジプロジェクトとして提供頂いた素材です。

通常の日本画制作工程のようにここから骨描きと言って線を墨で描いていきます。小さいので線も細く慎重な作業になります。更に胡粉などを塗り下地に色を重ねていきます。ほぼ面相筆の作業です。

下塗り
面相筆との比較 
こちらの作品は神戸三宮駅近くの高架下の風景をモチーフにしています。
マイクロキャンバスチャレンジプロジェクト素材のふくろうの作品完成直前です。

私自身も日本画制作は様々な工程を踏んで行います。モチーフによっては骨描きよりも下地から作成することもあります。扇子の時に描いたモチーフの一部をマイクロキャンバスで活かして作成しました。伝統的な日本画制作工程を大切にしつつも素材によって描き方や工程を変えていく様子を通して少しでも身近に感じていただければと思いました。完成作品はまた適宜ご紹介します。

山名しおりインスタグラムでマイクロキャンバスの作品はアップしております。ご覧頂けたら幸いです。

https://www.instagram.com/yamanashiori